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CSRは社会を変えるか “企業の社会的責任”をめぐるJ-POWER社会貢献チームの挑戦

価格 : 定価:1,870円(税込)
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ISBN:978-4-8403-0574-7

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著者  藤木 勇光
発行会社  みくに出版
サイズ  四六判 248ページ


一部上場企業に所属する著者による体験的CSR活動の記録。
内部の人間だからわかる社会貢献活動の意義、本業の壁などを率直に語る。


「エコ×エネ体験プロジェクト」はJ-POWER(電源開発株式会社)グループが企画し、
実施しているCSR活動(Corporate Social Responsibirity)です。
2007年にスタートし、これまでに累計約5000人が参加。
個人の顧客を持たないBtoB企業の実施するCSR活動としては国内最大規模です。
ダムを訪ねる「水力編」、石炭火力発電所を体験する「火力編」、
ゲストと対話を重ねエコとエネを考える「エコ×エネ・カフェ」、
ゲームなどを通してエネルギー政策を考える「エネルギー大臣になろう・
ワークショップ」の4つの大きなプログラムから構成されています。

本書は、この活動の立ち上げから現在に至るまで中心として活躍したJ-POWER社員の筆者が、
内側の人間でなければわからない工夫や葛藤を正面から書き下ろした記録です。

第一部では、著者が関わったJ-POWERの社会貢献活動(「エコ×エネ体験プロジェクト」)を
通じて、体験型環境教育活動の大切さ、NPOと企業の協働による社会活動の意義、
それらを進める際に経験したり直面して考えてきたことなどを紹介します。
また活動プログラムの企画から実施までのプロセスも描きます。

第二部では、企業の社会的責任の原点を探り、同時にこうした活動を進める上で
企業に内在する様々な”本業の壁”と向き合って、どのように理解を獲得し活動を
進めてきたか綴ります。あわせて最新のCSRに関する主要な動向を紹介します。

第三部では、著者自身のCSRビジョンとともに、東日本震災を受けて実施した
被災地支援活動とそこで考えたことなどを紹介します。

そして「あとがきに代えて」では、日本のこれからを担う現役世代、
次世代へメッセージを送ります。

企業の社会的責任や社会貢献について考えるためのすぐれた現場からの報告であり、
これからの日本企業のあり方を考えるための貴重な提言にもなっています。

 
目次
第一部 エコ×エネ体験記 CSRとの出会い
1.奥只見プロジェクト

思いもよらぬCSRとの出会い/電源開発株式会社の民営化とわたし
エコ×エネ体験プロジェクト/下見ツアーでの出会い
準備チームの革新性とチャレンジ精神/個性的なスタッフたち
2.エコ×エネ体験ツアー 
小学生親子の本番ツアー/集合、受付/アイスブレーク/森のプログラム
発電所のプログラム/まとめのワークショップ/大学生ツアーと初年度の振り返り
3.体験型環境教育とは
社会を変える3つの方法と環境教育/体験型環境教育の魅力/振り返りの大切さ
つながりを教える環境教育
4.エコ×エネ・カフェ
エコ×エネ・カフェの誕生/多様なゲストと多様なテーマ
5.エコ×エネ火力編
エコ×エネ火力編の誕生を目指して/自然体験にかわるもの/失敗続きの生焚き実験
サイエンス・カクテルとの出会い/エネルギー大臣カードゲーム
プログラムの改善、そしていざ本番
6.エコ×エネから学んだこと
エコ×エネからの学び/目的を共有する大切さ/協働の意義と効用/継続する大切さ
大人に求められるethical(倫理的)であること
7.エコ×エネの課題と展望 
エコ×エネ体験プロジェクトの現状/現在の課題/今後の展望

第二部 CSRの現状と課題
1.会社の社会性―企業にとってのCSRとは 
新入社員研修でのCSR談義/ABC+DE/子どもたちに青空を
CSRは本業とは別の活動ととらえることの危険/J‐POWERにおけるCSR体制整備
まだら模様の社内理解/課題の整理と「基本的考え方」の原案作成
2.社内の理解促進と普及活動
「社会貢献活動の考え方」の普及活動/専任組織化をめぐる顛末
3.CSRと本業の壁
CSR私見/利益の認識とCSR活動/本業における多忙感
善意だけでは現実に対応できない!?/組織人としての行動様式にまつわる違和感
「手応えは、実感するしかない」という現実/CSRには評価尺度がない!?
4.企業と組織、そして人
「本業の壁」はどの社にもある!?/J‐POWERの社会貢献活動のこれから
5.CSRに関する最近の動向
ISO26000の制定と発効
CSV(Creating Shared Value)の提案/企業によるESD宣言

第三部 わたしの考えるCSRビジョン
1.CSRは本業の中にこそ存在する

CSRにも「らしさ」が重要/社会貢献活動の評価の物差し
社会貢献活動の4つのキーワード/エコ×エネ体験プロジェクトの評価指針
2.遠心力と求心力を高めるための取り組み
協働の覚書―対等な切磋琢磨を作り出す風土づくり/チャレンジと2:6:2の法則
3.東日本大震災
2011年3月11日の衝撃/緊急集会とモニタリング/2011年の奥只見ツアー
4.被災地支援活動
コンポストを利用した支援活動/支援活動の設計と枠組み作り/支援活動の広がり
コンポストのフォロー活動/活動の転機と技術移転
5.CSR、協働、新たな社会づくり
企業とNPOの協働/新しい時代のCSRを!
あとがきに代えて



著者紹介:藤木勇光
1955年、岩手県釜石市生まれ。1979年、中央大学法学部卒。
同年、電源開発株式会社に入社。経理部決算課を振り出しに、
現場では竹原火力発電所の保守および3号機増設工事に関する業務、
水力発電所と送変電所・通信所を統括する支店/支社業務、
揚水発電所の開発調査業務などを経験。
本店では企画部、技術開発部、人事労務部、秘書広報部に勤務。
1997年、企画部民営化準備室にて企業理念の制定に関わり、
その理解浸透と社員の意識改革を目的に進められたCI活動(Corporate Identity活動)の
推進事務局を担当。
これ以来、企業の文化や風土、環境、コーポレート・コミュニケーションなどに関心を持つ。
2007年より、エネルギーと環境のつながりを体験型、
対話型で伝える「エコ×エネ体験プロジェクト」の責任者として、
同プロジェクトの運営と拡充に従事し、現在に至る。